ロータリポンプ原則



序文

ポンプに関して使用される用語について話を進める前にポンプはどうして液を「吸い揚げる」かについて考えてみたいと思います。

海抜面に据え付けられた開放容器内に貯えられた静圧している液は、どんなものでも(絶対)大気圧、約14.7psi(約1kg/平方cm)即ちゲージ圧0psi(0kg/平方cm)の圧力を受けております。ポンプを液面より上の位置へ据え付け、ポンプ吸入口から液の処までパイプ接続し、ポンプを起動させると、液とポンプ間の吸入配管内の空気はポンプにより抜き出されます。これによりパイプ配管内の圧力は大気圧以下に下がります。パイプ内部の絶対圧より高いため、液がパイプ内を揚がってきます。もし、ポンプが吸入配管内の空気をすべて抜きだしてしまうと、比重1.0の液は34フィート(圧力に換算すると14.7psi)約10m(約1kg/平方cm)も上に上がってきます。実際的には液がパイプ内を流れるときに生ずる摩擦抵抗とポンプで液を汲み上げる時の液温時の蒸気圧とによって34フィート(約10m)より下の数値になります。大気圧より下の圧力は真空と呼ばれ、水銀柱のインチ又はミリメートル(inHg)又は(mmHg)単位の高さで表します。


定義


ポンプに関して使用される用語について、その意味をはっきりと理解しておくために、ここでその説明をします。


水頭(HEAD)

ロータリポンプでの一般的な単位は1インチあたりのポンド重量(psi)です(日本ではメートル
法でkg/平方cmであらわされます)。吸入揚程(suction lift)では、水銀中のインチ高さ
(inHg)又は(mmHg)でする。基脚部の垂直距離は時々水頭として表します。各々の換算式
は次の通りです。


Psi=0.49*inHg=ヘッド(フィート)*比重/2.31

kg/平方cm=0.00136*mmHg=ヘッド(m)*比重/10

inHg=2.04*Psi=ヘッド(フィート)*比重*0.88

mmHg=735*kg/平方cm=ヘッド(m)*比重*75.7

ヘッド(フィート)=Psi*2.31/比重=inHg/比重*0.88

ヘッド(m)=kg/平方cm*10/比重 = mmHg*0.0136/比重

 上記換算式のヘッドとは、ポンプ移送される液での基脚部による水頭(Head)・・・即ち液柱
高さを表したものです。
(注)比重1.0の水の場合は水柱といい、液柱と区別している。比重とはある流体の比重量を
同じ単位の水の比重量で割ったものです。(注)
比重量:1立方m又は1立方cmあたりの重量のこと

即ち、流体の重量(kg又はg)/その物体の体積(立方m又は立方cm) 
                     (kg/立方cm、g/立方cm)


静吸込揚程(Static Suction Lift)

ポンプが液面より上に据え付けられており、液面からポンプの中心線までの垂直距離(Psi又は
Kg/平方cmであらわされる)をいいます(第2図A参照)


静吸込水頭(Static Suction Head)

ポンプが液面より下に据え付けられており、液面からポンプの中心線までの垂直距離(Psi又は
kg/平方cmであらわされる)をいう(第2図Bを参照) 


摩擦水頭(Friction Head)

液が配管システム内を流れる時に生ずる摩擦抵抗に打ち勝つために必要な圧力(Psi又は
kg/平方cmであらわされる)をいう(第3図参照)


速度水頭(Velocity Head)

パイプ内を流れる流速による流体のエネルギー(Psi又はKg/平方cm、或いはm(mm)であら
わされる)をいう。この数値は全水頭の数値と比べて小さいものなので、普通は無視しうるものです。


全吸入揚程(Total Suction lift)

ポンプ稼働時、吸入口における大気圧以下の全圧力(inHg又はPsi或いはmmHg又は
Kg/平方cmで表される)を言い、下記と同等のものです。

 1.静吸込揚程 + 摩擦水頭
 2.摩擦水頭 − 静吸入水頭(摩擦水頭が静吸入水頭より大きい場合)(第3図参照)


全吸入水頭(Total Suction Head)

ポンプ稼働時、吸入口における大気圧以上の全圧力(Psi又はKg/平方cmあるいはmで表す)
で静吸入水頭−摩擦水頭の圧力と同じです。


静吐出水頭(Static Discharge Head)

ポンプの中心線から流体が、パイプから吐出開放される点までの垂直距離を言う(Psi又は
Kg/平方cmで表す)第2図(A)(B)(C)参照。


全吐出水頭(Total Discharge Head)

吐出ラインの摩擦水頭と静吐出水頭の和を言う(第3図参照)


全静水頭(Total Static Head)

静吸込揚程と静吐出水頭の和、又は静吐出水頭と静吸入水頭との差をいいます。第2図
図(A)(B)(C)参照


全揚程(Total Dynamic Head)

全吐出水頭と全吸入揚程の和、又は全吐出水頭と全吸入水頭との差をいいます。
(第3図参照)


吸込実揚程(Net Positive Suctoin Head[NPSH])

ポンプ稼働中、吸入口における絶対圧力(液柱で表される)が流体の蒸気圧を超える圧力をいい
ます。